男と男の体験談目撃談友情小説B
男と男の
体験談目撃談友情小説
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Love in life B
【その他】
投稿者/匠
それから数日間、とても充実した日々が送れた。
一緒にショッピングして、ペアでTシャツを買ったり、観光したりと本当に楽しかった。
涼ちゃんの現地の友達と食事をした時も、それほど英語が話せなくともサッカーの話題で意気投合して、プレミアリーグの中で、どこのチームのファンだとかいう話で打ち解けられた。それを見て、涼ちゃんは俺のコミュ力に目を丸くしていた。
そして、俺が帰る前日、週末ということもあって、涼ちゃんと一緒にロンドンに泊まって、空港まで見送りに来てくれることになった。
俺は、おばあさんに何度も「サンキュー」と言ってお別れをした。玄関先でハグをしてくれ、文化だとわかっていても少し心がジーンとしてしまうのは何故だろう。
ロンドンに着いてから、ロンドンアイやビッグベンなど有名な観光地を回った。オリンピックが開催されていたこともあって、東京のようにどこも賑わっていた。
夜、ホテルはテムズ川沿いのきれいなホテルだった。
近くのレストランで食事を済ませた後、ホテルの中にあるバーでライトアップされたビッグベンを眺めていた。
俺「涼ちゃんさ…俺、本当に涼ちゃんのこと愛しているよ」
「なんだよ、突然」
俺「だって、好きだってこと伝えないと駄目な気がして。じゃないと…涼ちゃんどこかいっちゃう気がしたから」 伝えないと…ちゃんと伝えないと俺。
「大丈夫だよ。心配しないで、俺はどこにも行かないし、俺だって光のこと愛してる」
本当に?俺に何も言わないでイギリスに来ようとしたくせに…。俺…まだ少し怒ってるんだからね。
ふぅ−っと一息ついて、さりげなく口を開いた。
俺「ねぇ、イギリスって同性婚できるんだってね。」
「それがどうしたの?」言葉とは裏腹に目が泳いでるよ…。
俺「えーっと…だから、ここなら結婚してずっと暮らせるのかなぁーって思ってさ。」
俺は、涼ちゃんの顔色をうかがいながらカクテルを少し口に含んだ。
涼ちゃんは、笑みを浮かべながら俺の目をみつめた。
わかってるよ…目が笑ってないじゃん…何年一緒にいると思ってるんだよ…。
こうして作り笑顔を浮かべてる時は、決まって悩んでいろんなことを考えてるんだよなぁ…。
いつもなら、もうこれ以上聞かない…。でも、今日は違う…。
俺は、答えを聞きたかった…。はるばるイギリスまで来て、やっぱり俺は目の前にいる人のことを愛してるってことに気づいたから…。
俺「涼ちゃんはどう思う?」
「俺は…」そうつぶやいてから、うつむいてしまった。
沈黙が1分を過ぎた頃…俺はその沈黙に耐えられなくなった…。
これ以上、聞こうとするのはやめよう…。
それに、聞きたくない答えが帰ってくるかもしれない…。
最後の夜なのに、強引にでも答えを聞こうとした自分を責めた…。
俺「そうだよね。突然、そんなこと言われても答えにこまるよね。ごめんごめん。ちょっと、雰囲気に酔いすぎちゃったみたいだよ。こんなおしゃれなとこくるの初めてだかね。」
それから、涼ちゃんの顔はどこか浮かない顔をしていた。部屋に戻るエレベーターの中でもずっと黙ったままで、昼間のラブラブな雰囲気からはほど遠い雰囲気だ…。
部屋のロックを解除して、部屋に入り、俺は窓際のソファーにきていたジャケットをそっとおいた。
その瞬間、後ろからギュッと抱きしめられた。
「光…さっきの答えだけど…」
俺「あぁ、気にしないでいいよ。ねぇ、それより…」
「いいから、黙ってきいて」俺の話を遮ったその声は少し震えていた。
「俺…さっき、光から結婚とか、ずっととかいう言葉を聞いて驚いた。驚いたけど…それ以上にうれしかった。でも、その反面、どこかで、いつか俺が光の人生を壊しちゃうんじゃないかって怖くなるんだ。光のこと大好きだからこそ、光には幸せになって欲しい。だから、俺と一緒にいることで光が幸せになれるのか怖いんだ…俺…怖いんだよ…」
徐々に涙声になって、震える体を俺はそっと抱きしめた。頭を何度も何度もなでた。
すごく愛おしく、愛おしく思えた…。これほど、俺のことを考えてくれているのもうれしかった。
俺「涼ちゃん…俺のこと好き?」
「うん…」
俺「俺のこと愛してる?」
「うん…」
俺「俺も愛してるよ…それだけでいいじゃんか。俺は、涼ちゃんといられて幸せだよ。
だから、そんなに悩む必要ないんだよ。俺のことそんなに考えてくれるのはうれしいよ。でも、本当に俺は涼ちゃんといられることが幸せなんだから。だから…目を開けて」
潤んだ瞳から少しこぼれる粒を、そっと指先でなで、俺は目元にキスをした。徐々に口元にキスをして、唇が触れたところでもう一度、まっすぐに目をみつめた。
【コメント/感想】
[3]山下直樹
そろそろ稲刈りしますか?
ゴキブリはまだ食べてません。
小さな子どもが大好きです。
[2]ヒロ
全然ダークな部分がない(笑)
根っからいいヤツということなんだなぁ。
イギリス留学経験者ですか!
みんなバンコランみたいなのかなぁ・・・
とかバカなことを想像してしまいます。
[1]匠
今回は、光の視点から描くことによってこれまでとは違ったテイストになるかと思います。
最後ということもあって、丁寧に描写を入れています。余談ですが、イギリスに私自身が留学してたこともあって、その辺ディテールは拘ってます 笑
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