男と男の体験談目撃談友情小説B
男と男の
体験談目撃談友情小説

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Love in life D
【その他】
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朝、カーテンの隙間からきらきらと差し込んだ光で俺は目を覚ました。

まだ、涼ちゃんは横でぐっすりと眠っている・・・。
そりゃ、昨日はあんなに頑張っちゃったもんね・・・

そっと、カーテンを開けると、そこにはロンドンには珍しい青空が広がっていた。

朝早くにもかかわらず、テムズ川沿いには、犬の散歩をしている人や仕事に出かける人が歩いていた。

ベッドに戻り、眠っている顔を見つめていると、目を覚まして眠そうに目をこすった。

俺「おはよう。起こしちゃったね、ごめん」

「ううん・・・今何時?」

俺「7時だよ。」

「そうか・・・じゃあ、そろそろ起きないとね。」

俺「じゃぁ、先にシャワー浴びて良い?」

「ちょっと待って・・・」

そう言うと、ベッド際に立つ俺に近寄ってくると、唇を重ねてくる。

「おはようのキス」
にやっと笑いながら俺を見た。

バスルームへと向かって歩く裸を後ろから抱きしめる。

俺「そんなことしたら、またしたくなっちゃうでしょ・・・」

「バーカ。夜、あんだけやったじゃんか・・・」

俺「まだできるーっての!」


空港にいく電車の中では、二人とも無口になってしまう。
また離ればなれになってしまうのを恨めしく思ってるのだ。

隣に座ってる涼ちゃんが、そっと俺の手を握ってくる。
俺は黙って、それを強く握り返した。

きっと、涼ちゃんも同じ気持ちなんだと思った・・・。

でも、大丈夫だよ・・・きっとね・・・大丈夫・・・。

そう心の中で何度も何度も繰り返した。

チェックインを済ませ、荷物を預け終わると、いよいよ別れなければいけないのかと思い、寂しさがこみ上げてくる。

その寂しさを紛らわせるように、ギュッと抱きしめる。

欧米では、こういった行為がそれほど目立たないことが
ありがたい。

「待っててくれるよね・・・」

俺が言う前にそう尋ねてくる。

俺「うん・・・待ってる・・・ずぅーっとね」

そして、お互い目を見つめ合った。

涼ちゃんの瞳に映る俺は迷っているように見えなかった。

ゲートに向かう前、何度も振り返えった。

ずっと、手を振っててくれた。
俺もその度に笑顔で返した。




3年後・・・

「じゃぁ、行ってくるね。」

俺「いってらっしゃい。今日は一緒に夕飯食べられそうかな?」

「うーん、多分大丈夫だと思うよ。」

俺「そうか・・・じゃぁ、先に帰ったら作っておくね」

「うん。よろしく。そんじゃ」

玄関で靴を履く涼ちゃんを後ろからギュッと抱きしめた。

「なんだよ。またすぐあえるじゃんか」

俺「これで、今日一日俺が元気になるの。」

「俺もな・・・やべっ、遅れるわ」

駆け足で廊下を走る涼ちゃんの姿を笑顔で見送った・・・。

ロンドンでの別れから5年が経った・・・

大学を卒業して、今は社会人だ・・・。

あれから、くだらないことでケンカも何度もして、その数だけ仲直りして・・・

2人で笑いあってきた・・・

俺達の未来がどうなるかなんて・・・今はわからない・・・。

2人、同じ屋根の下で暮らして、一緒にご飯を食べて、ソファーで隣り合ってテレビや映画を見て・・・
夜、同じ布団で寝ることがこの上なく幸せに感じられるんだ・・・。

部屋に飾られた写真を見た・・・

それは、俺達がまだ高校生だった頃の写真・・・

あれから、10年が経った・・・

10年の月日の中・・・ずっとお互いのことを想い合ってきたんだ・・・

涼ちゃんに対する愛が・・・俺の人生の大半を占めていることを感じる・・・

たった一人の人に出会うことで・・・人生がとても幸せに感じられるようになる・・・

本当に出会えてよかった・・・

写真を戻すと、俺も支度をして家をあとにした・・・。


03/21 16:53 PC[]

【コメント/感想】

[3]ヒロ
作品のコメントも併せて読みましたが…自分のコメントの馬鹿さ加減に呆れました(笑)

「愛してるの境界線」を書いてる時の匠さんが高校生だったことも改めて思い出しました。
ここの掲示板は投稿の月日は記載されますが、何年かはわからないんですよね。
だから、あれから何年経ったのか正確には思い出せませんが…

とにかく、僕は匠さんの作品のファンなんです。
ゲイ向けの小説とは違う、腐女子向けのBLとも違う、独特の切なさが文章全体に漂っている
匠さんの作品ならではの「味」が大好きです。

きっと、匠さん自身が辛いことや切ないことをたくさん経験してきているからこそ
書けるんだろうなぁと勝手に推測しています。涼太郎は匠さんそのものでしょう。

この掲示板も、このままの形でいつまであるかわかりません。
自分の作品はぜひともバックアップしておいてくださいね。消えたら勿体ないです。

投稿してくれて、ありがとう。
03/22 07:20 PC[]

[2]ヒロ
ついつい…過去作品倉庫へ行ってしまいました。
「好きと言えなくて…」から「愛してるの境界線」まで一気読み。止まりませんでした(笑)

思えば、初出の涼太郎は中学生だったんですね。俊介のことはすっかり忘れていました。
高校でも、大学でも、社会人になってからも涼太郎は変わらず揺れてばかりいますが、
俊介のことがずっとトラウマになっていて失うことへの不安に苦しめられているんだろうなぁと思いました。

そうそう!過去作品を読んで印象的なキャラを思い出しました。板橋!
僕は板橋が大好きでした。いわゆる腐女子とは違う(笑)男同士の恋愛も人間関係の
ひとつの形として捉えられる芯の強い女の子でしたよね。彼女も涼太郎が好きでしたが…
その後、登場の機会はありませんでしたが、どうしてるんだろう。幸せになれたかな?

あと、海斗!匠さんの作品はコイツの存在抜きには語れません。
何度も涼太郎にヒドイ目にあわされているのに(笑)それでもひたすら涼太郎を支える海斗。
海斗もどこかで幸せになってほしいですねぇ。
03/22 07:03 PC[]

[1]ヒロ
何だか最終回のような終わり方でしたが・・・違いますよね?
最終回なら最終回って匠さんはいつも書くから。でもちょっと不安(笑)
03/22 05:41 PC[]

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